企業経営者と社員研修責任者の皆様へ

望月義博が、カーショップ、カーディーラーの皆様に
本当にお役に立てる研修について考え発信しています。

第58回 リーダーシップについて考える
「その8 リーダーは撤退する勇気を持て!」

リーダーの仕事で一番難しいのは撤退を決断することです。今回は撤退を決断する勇気について考えてみたいと思います。

山登りが好きな知人から聞いた話です。

10名ぐらいの若い仲間のパーティーで登山をし、もう少しで頂上だという時に天候が悪くなってきた。

リーダーはメンバーの服装、女性メンバーの様子等から判断し、天候が悪くなると危険だからここから引き返そうと考えているようすだったが、若い元気な数人のメンバーから、

「大丈夫ですよ、頂上は直ぐそこです。」

「天気は悪くなりそうですが、頂上まで行けそうですよ。」

「頂上での休憩時間を少なくして下山すればいいじゃないですか、このまま進みましょう。」

等の意見に押されて、そこから引き返さずに頂上を目指し登山を続けたが、やがて雨が降り出し、ずぶ濡れになった。

身体が冷えて気分が悪くなった女性メンバーもいて、下山は大変だった。あの時、リーダーが「ここから下山する。」と勇気を持って決断してくれたら良かったのにと、リーダーを恨んだ。という話を聞いたことがあります。

私も企業でリーダーをしていた頃、一番難しくて悩んだことは撤退の決断でした。

営業職で拠点長をしていた時に、ある取引先に対する信用不安の噂が耳に入ってきました。その取引先とは、拠点設置からの取引で毎月コンスタントに取引量がありました。

担当者を呼んで話を聞くと、

「単なる噂で全く問題ないと思っています。」

「社長と話をしても新規取引先が出来そうだ、販売が伸びている。」

等、いい話が多いので不安はないとの報告でした。

私はこのまま、取引を継続する事にしましたが、数か月後に受取手形が不渡りになりました。私が営業職になって、初めて不良債権を発生させた事例です。

あの時なぜ、自分自身で、同社の担当部長やスタッフと話しをしなかったのか、担当者からの報告だけではなく、もっと多くの人と話をすれば、何か気付く事があったのではないのかと思いました。

でも、後で冷静に考えると、その決断をする事が私は怖かったのです。

取引を中止して、無くなった売上をどこでカバーするのか、この話は単なる噂だけなのに取引を中止したら今後どうなるのか、いろいろ考え悩みました。

結局、私は信用不安に関する情報を集めず、担当者からの一方的な話ばかりを信じていたのです。あの時、勇気をもって取引の中止を決断すれば良かったと悔やみました。

数年後、また同じように取引先に対する信用不安の噂がありました。私はその噂を調査するように担当者に指示し、私自身も同社を訪問したり、関係者に会っていろいろな情報を収集しました。

その結果、撤退を決断したのです。

まず最初に、同社の社長と面談し、取引条件の変更をお願いしました。社長は売上予想や、新規開拓の状況を説明しましたが、内容は非常に曖昧で、その様子から信用不安は本当らしいと感じ取引を縮小しました。

数ヶ月後、同社の手形は不渡りとなりましたが、取引を縮小していましたので被害は微々たるものでした。

リーダーが撤退を決断する時は、本当に勇気が必要です。一番のポイントは情報を収集し、リーダーが現状を確認する事だと思います。

全滅する前に、いかに被害を最小限に抑えるか、私たちはその例を映画「八甲田山」の中に見る事が出来ます。

「八甲田山」は新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」を映画化したもので、レンタルビデオ店で借りて見ることが出来ます。

弘前第八師団、大滝秀治が演じる中林参謀長がリーダーとして、どのように行動したのか、一見の価値がありますので、もし、自分が中林参謀長だったら、どのように行動したか、考えながら観て頂ければと思います。


2016年4月21日



 


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