企業経営者と社員研修責任者の皆様へ

望月義博が、カーショップ、カーディーラーの皆様に
本当にお役に立てる研修について考え発信しています。

第85回 営業マンの姿勢

「お前はどっちを向いて仕事をしているんだ」

と上司から言われたことがあります。その時、私は、

「会社の為に決まっているでしょう」

と答えていました。

3ヶ月間の新入社員研修が終わり、初めて営業の現場に出た頃のことです。毎日緊張していましたが、受注書類を間違えて作成し、同じタイヤを二重に出荷してしまったことがあります。

すぐに上司に報告し、その取引先にお詫びの電話を入れましたが、仕入れ担当者は「あ、そう、いいよ受け取るから」と言ってくれました。

でも、心配になり翌日菓子折りをもって謝罪に行きましたが、仕入れ担当責任者は「心配しなくていいよ」と言ってくれたので、ほっとして私が新入社員だからミスをしても仕方がないと思い許してくれたのだろう。取引先はいい人ばかりだと、勝手に解釈していました。

その頃、新聞では毎日オイルショックの記事が掲載されて、変な噂が飛んでいました。トイレットペーパーが無くなるらしい、原油が入ってこなくなるので石油製品だからタイヤも品切れになるらしい、という噂です。

そんなことはないと思っていましたが、タイヤの買い占めが始まりました。

どこそこの店にはお客が現金をバックに詰めてタイヤを買いに来た、そして、どんなサイズでもいいからタイヤを売ってくれ、と言ったとか。どこそこの運送会社では倉庫にタイヤを山積みにしている等の噂話がありました。

タイヤの注文がどんどん入ってきて、すぐに欠品が多発しました。何もしなくてもタイヤの販売目標は達成出来たのです。

私は接待するのではなく、接待される様になりました。

その時は気付きませんでしたが、私は「売ってやる」という態度だったと思います。特別ボーナスをもらい、タイヤの営業はこんなに簡単なんだと思いました。でも、こんな異常な事は半年で終わったのです。

そしてタイヤが全く売れなくなりました。今度は、一生懸命取引先にお願いしましたが、取引先からは在庫があるから注文は出来ないという返事ばかりでした。

それでも月日が経過すると、だんだん取引先の在庫も消化されましたが、私には、まだあの頃の営業姿勢が残っていたので、上司には、

「担当の望月は固すぎる、威張っている」

「何を提案しても木で鼻をかんだような返事ばかりだ」

「買ってくれ、買ってくれと言うだけだ」

そんな苦情が入っていたようです。

子会社への出向を命じられ、ふて腐れていた私に、ある取引先の社長より「面白いビデオがあるから見てごらん」と言ってプレゼントされたビデオが「天秤の詩」でした。

このビデオは近江商人の家に生まれた息子が、父親から鍋の蓋を売って来いと言われ、出入り業者や親戚に買ってくれと高飛車な言葉で頼むのですが断られ、父親や出入り業者を憎んだりしますが、最後は商売の基本に気付くというストーリです。

私はこのビデオを見て泣きました。ビデオを見て泣いたのは初めてでした。

そこには私がいました。傲慢で、自分の事しか考えない、お客様のことなど全く考えない私がいたのです。上司からお前はどっちを向いて仕事をしているんだ、と言われた意味がその時やっと理解できたのです。

まずはお客様の利益の為に。そうすると自然に私たちの会社の方に利益が帰ってくるのです。

私は「利他の心」を知りました。

リーダーの皆さん。もし、あなたの部下の営業姿勢が少しおかしいなと思ったら、

「お前は、どっちを向いて仕事をしているんだ」

と聞いてあげましょう。


2017年6月19日



 


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