企業経営者と社員研修責任者の皆様へ

望月義博が、カーショップ、カーディーラーの皆様に
本当にお役に立てる研修について考え発信しています。

第116回 アナグマの独り言

アナグマの俺は若い頃からヤクザだった。

組にも組織にも属さず一匹オオカミを気取っていた。

かなり顔を売っていたが、ある時、組の抗争に巻き込まれて妻と子供たちが死んだ。

組や組織の後ろ盾がない俺にはどうする事も出来なかった。

俺は一人ぼっちになったが今までよりも、もっとでっかい漢になろうとして成果を上げる為にメチャクチャ頑張った。

こんなヤクザな俺にも若い者が集まり、「いろいろ教えてくれ」と言ってきたが俺は無視した。

「仕事の技は盗んで覚えるものだ、俺の技を盗んでみろ。」

そんな気持ちでいた。

チームプレイなどいらない、甘ったれるな、若い者を育てると、ライバルになるような気がしていた。

長老のアナグマから、
「何でそんなに突っ張っているんだ」
と言われたが、俺は
「こんな生き方しかできないんです」
と答えていた。

そして気が付くと、アナグマ一族の者は誰も俺に近づかなくなった。

その頃の俺はかえって気楽でいいとさえ思っていた。

それから年を重ねた、近頃身体がだるく、呼吸も苦しい時があるので病院に行くと、医者から末期がんで余命一年と宣告された。

俺はショックだった。俺は死ぬのか。

俺の人生は何だったのだろう。

でも仕方がない。

俺はやりたいことをすべてやってきた。

俺はヤクザだ、一人静かに野垂れ死にするのが一番俺に似合っている。

でも次の日には、いや、やはり俺が生きてきた証を残したい、誰かに俺の事を知っていてほしい。

俺が死んでも、俺の事を思い出してほしい。

誰かに俺の得意技を伝えたい、と思うようになった。

いまさら同じ一族のアナグマには、こんな話は出来ないので、キツネやウサギなど、他の部族の若者に話をしてみた。

教えてやるというのではなく、一人でも二人でも覚えたい、教えてほしいという若者がいたら喜んでオレの得意技を教えた。

コックの見習いをしている野ウサギには
「お客様が残した料理を捨てる前に食べてみろ」
と、まずは自分で考える為のヒントから教えた。

セールスマナー、販売話法、商品ディスプレーの仕方などいろいろある。

若者の頭には、リーダーとしての心得、マネジメントとは何か、等を話した。

教えることは楽しい。

なぜもっと早くから若者達に教えなかったのだろう。

でも俺は話を聞いてくれている若者たちが、本当にこの技を使ってくれるのか、心配だった。

死にゆく俺に同情しているのかもしれない、本当はこんな技は、ばかばかしいと思ているのかもしれない、と不安もあった。

しかし、きっといつか、この技を使ってくれるに違いないと信じた。

その時に俺のことを思い出して、昔こんなヤクザな男がいて、この技を教えてくれたんだ。

と、子供たちに話してくれたら嬉しい。

俺は思い出として生きることが出来ると思った。

昨日から呼吸が非常に苦しい、歩くことも出来なくなった。

医者には止められているが、とっておきのウイスキーを一杯だけ飲もう、オンザロックだ。

深くて暗いトンネルが見えてきた。

俺はトンネルを走っている。

身体が軽い空を飛んでいるようだ。


スーザン・バーレイ 作   「わすれられない おくりもの」


この絵本を何回も読んで、リーダーの皆様にもぜひ一度読んで頂きたいと思い、主人公であるアナグマの気持を想像してこのストーリーを作りました。



2018年10月4日



 


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